ベストセラー「思考の整理学」の著者外山滋比古さんが胆管癌で亡くなりました。
2020年7月30日96歳でした。
ご冥福をお祈りします。
こんにちは shumanです。
思考の整理学(筑摩書房)とはどんな本?
初版は1986年。
約30年経っても大学生など若い読者を獲得し、累計250万部以上の今でも読み継がれるロングセラーです。
時代を超える普遍的な内容で、老若男女に感銘を与え続けてきたといえます。
大学教授の本というと、「堅苦しい読みにくい文章かな・・」といきなり敷居が高くなる感じがあります。
実際はそうでもなく、33の項目ごとのエッセーでできており、目から鱗の考え方が独自の視点で開陳されています。
意外と読みやすかったです。
文庫は124刷。253万3400部(2020年8月6日現在)で現在も更新中です。
プロ野球中日ドラゴンズの根尾昂(ねおあきら)選手が、入団時に愛読書に上げたことでも注目を集めました。
グライダーと飛行機とは?
グライダーは自力で飛ぶことができない。
学校の優等生は、「グライダー」として優秀であるが、いわゆる成績の良い学生ほど「なんでも自由に自分の好きなことを書いてみよ」と論文のテーマを自分で考えるように求めると、とたんに途方に暮れる。人間には、グライダー能力と飛行機能力がある。
受動的に知識を得るのが前者。自分で物事を発明、発見するのが後者である。
現実には、グライダー能力が圧倒的で、飛行機能力がまるでない「優秀な」人間が沢山いる。
しかも、そういう人も「翔べる」という評価を受けている。
このままでは、コンピューターというとびぬけて優秀なグライダー能力の持ち主に、仕事を奪われることになる。
ではグライダーにエンジンを載せるにはどうすればよいか?
これがこの本のテーマです。
滑空するだけのグライダーと動力を持った飛行機。
「知識をありがたがってグライダー人間になると、自分で飛ぶことを忘れてしまう」
「知識だけいくら集めてみても、人間的成長にはつながらない。
それより自分の頭で考える思考の方が重要」
毎年東大、京大などの生協の書籍販売ランキングの上位に入る大学生の必読書となったのは、だれもが頭の中で知識偏重への危機感や疑問を持っているからかもしれません。
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外山滋比古さん略歴
英文学者。愛知県西尾市出身
東京文理科大(現筑波大)卒。
「近代読者論」で読書の在り方が音読から黙読に変化する過程を考察し注目を集めた。
専門の英文学はもちろん、「言葉」について深く探求し、幼児教育の重要性を提言。
お茶の水女子大や昭和女子大などの教授を歴任。
著書は「修辞的残像」「日本語の論理」「シェイクスピアと近代」など300作超の多数。
NHK放送文化賞、勲3等旭日中綬章。
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まとめ
「思考の整理学」執筆の出発点は、お茶の水女子大の教授時代。
「知識偏重の学習への危機感」
その印象的な比喩が「グライダーと飛行機」だったわけですね。
「面白いな、だれも言ってないな、新しいな、書きたいなと。ただ思っているだけでなくて言葉にしたい」
こんなあふれる知的好奇心が長生きの秘訣であり、生き生きと生きるために必要なのかもしれません。
それではまた
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