思考の整理学 メタノートとは?もっと若い時に読んでおきたかった本 外山慈比古

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レビュー
思考の整理学 外山滋比古

こんにちは shumanです。

「もっと若い時に読んでいれば・・・」そう思わずにはいられませんでした。

ーこのキャッチを見て、つい手に取ってしまった本です。
確かに読後、そう思いました。
それはなぜだと思いますか?

思考の整理学 外山滋比古

思考の整理学

初版は1986年。30年以上前の作品です。
著者は、外山慈比古(とやま しげひこ)。
お茶の水女子大学の先生です。

・・・というと、「堅苦しい読みにくい文章かな・・」といきなり敷居が高くなる感じがあります。
実際はそうでもなく、33の項目ごとのエッセーでできており、目から鱗の考え方が独自の視点で開陳されています。
意外と読みやすかったです。

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グライダー

 

グライダーは自力で飛ぶことができない。

学校の優等生は、「グライダー」として優秀であるが、いわゆる成績の良い学生ほど「なんでも自由に自分の好きなことを書いてみよ」と論文のテーマを自分で考えるように求めると、とたんに途方に暮れる。人間には、グライダー能力と飛行機能力がある。

受動的に知識を得るのが前者。自分で物事を発明、発見するのが後者である。
現実には、グライダー能力が圧倒的で、飛行機能力がまるでない「優秀な」人間が沢山いる。
しかも、そういう人も「翔べる」という評価を受けている。
このままでは、コンピューターというとびぬけて優秀なグライダー能力の持ち主に、仕事を奪われることになる。

ではグライダーにエンジンを載せるにはどうすればよいか?

これがこの本のテーマです。

忘却のさまざま

忘れてはいけないと思えば思うほど、意地悪くすっかり忘れてしまう癖に早く忘れてしまいたいことが、妙に頭にこびりついて離れないことがある。
忘れるときは、他のことをすればいい。

一つのことをしたら、すぐまったく別のことを始める。
長く同じことを続けると疲労が蓄積する。
能率が悪くなる。
時々一服してリフレッシュする必要があるが、別種の活動ならば休憩の必要はない。

汗を流すのも忘却には効果がある。
散歩も効果があるが、「ぶらりぶらり」はダメで、足早に30分歩けば気分が変化し頭を覆っていたもやもやが晴れてくる。頭の整理が終了したのである。

あとは、本の内容がどんどん頭に入ってくる。
ノートに記録すると、安心感からか忘れてしまう。
めったにノートをとらなくても、ほんとに興味のあることは忘れない。
大切なことは書かないでおく。
そして忘れてはいけない。
忘れたら取り返しがつかないと思っているようにするのである。

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メタ・ノート

メモに書く。
書けば安心して忘れる。
しばらくして見返す。
なんでこんなことをメモしたのかと不思議になる。

風化が進んでいるのである。

ここで残したものをノートに移してやる。
第1次審査である。
さらにこのノートもしばらくして再検討すると、不必要なものが出てくる。
そこで残った内容をさらに次のノートに移す。

第2次審査である。
これが「メタ・ノート」。
こうして変わらないものを見つけていく。

逆に言えば、変わりやすいもの、不要なものを忘れていく。

「思考の整理」には、忘却が最も有効である。

思考の整理とは、いかにうまく忘れるか、である。

ピグマリオン効果

40人のクラスを20人ずつAとBの2グループに分け、Aグループには採点したテストの答案を返す。
Bグループには採点せず、ひとりひとりを呼び出して「よくできた」とだけ伝える。

やがて第2回目のテストをし、同じことをする。
これを何回か繰り返した後、今度は全員の答案を採点する。
結果は、ほめていたBグループの方が、平均点でAグループより高い成績を出す。

これが、ピグマリオン効果である。
つまり、人間は見え透いた言葉でも、褒められれば力づけられる。
お世辞だとわかっていてもいい気持になる。

こんな具合に、「なるほどなあ」と思うことが33のテーマに合わせて、紹介されています。

何かを産み出すことに近道はありませんが、最短距離を行く指針となりえる本です。
(ちくま文庫の帯より)

時々、読み返したくなる本です。

著者 外山 滋比古(とやま・しげひこ)英文学者
1923(大正12)年愛知県寺津町(現在の西尾市)生まれ
旧制刈谷中学を経て、筑波大前身の東京文理科大卒。
30年以上にわたるロングセラーの「思考の整理学」をはじめ、文学評論、エッセー、子育て論、日本語論など幅広い分野で100以上の著作がある。
お茶の水女子大学名誉教授。

ではまた

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